金蘭会 | 春高バレー優勝

 春高のセンターコートで、金蘭会のバレーが最高の輝きを放った。「1つでも日本一…いや、それも考えていなかった。この子たちが僕の思いを超えて優勝してくれた」と池条監督。夢の3冠達成に、コート中で歓喜と涙の輪ができた。

 府予選決勝でフルセットと苦しめられた大阪国際滝井を寄せつけなかった。伝統の「拾ってつなぐバレー」は健在。春高ではこれに1年生エース・宮部藍梨らの成長で、泣きどころだった「決定力」も備わった。攻守のバランスで、確かにライバル校を圧倒していた。

 ただ、3冠達成の要因はそれだけではない。堀込奈央主将(3年)はチームの特徴を「自分たちで工夫するバレー」と表現する。金蘭会では練習メニュー、時には出場メンバーまで主に選手が決める。監督は助言や間違いをただすことはあるが、決して押しつけることはない。

 池条監督は「結局やるのは選手。試合になったら指示なんて聞こえないし、ならば自分たちでやれるようにと普段から指導してきた」と話す。自主性を育ててきたからこそ、ピンチでも自分たちで立て直せるし、大舞台で力を発揮できる。

 同校がバレー部強化に本腰を入れたのは、池条監督が就任した2007年。当時はユニホームもなく、初の公式戦は1回戦負けだった。それから8年。3冠を決めた試合を、指揮官はこう振り返った。

 「きょうはほとんど何もいわなかった」(森本利優)